BLOGなど ブログなど

不動産の価格形成要因について 

不動産の価格を形成する要因(価格形成要因)は、①一般的要因、②地域要因、③個別的要因に大別されます。中でも地域要因、個別的要因は不動産鑑定評価上の取引事例比較法(実際の取引事例から対象不動産の価格を求める手法です)を適用する際の比較項目となっています。

今回はこれら価格形成要因についてご紹介します。

〇一般的要因

一般的要因とは、自然的要因(気象条件、土壌、地勢等)、社会的要因(人口・世帯の状態、不動産の取引慣行、生活様式等)、経済的要因(GDP、物価水準、財政・金融の状態等)、行政的要因(法令上の制限、住宅政策、税制等)に大別されます。これは一般経済社会における不動産の在り方及びその価格の水準に影響を与えるもので、マクロ的な要因と言えます。この一般的要因がそれぞれの地域の特性に応じて作用し、その地域の価格水準に影響を与えます。これが地域要因です。

〇地域要因

地域要因とは、不動産の用途が同質と認められるまとまりのある地域(用途的地域といいます)における不動産の価格水準に影響を与える要因です。上記一般的要因との関係でいうと、一般的要因がそれぞれの地域の特性に応じて作用し、その地域の価格水準に影響を与え地域要因となります。用途的地域は、宅地地域、農地地域、林地地域等に大別され、宅地地域は、さらに住宅地域、商業地域、工業地域等に分けられます。
① 住宅地域:最も重視される要因は日照・通風・眺望・騒音などの居住の快適性、上下水道・ガスなどの生活インフラ、交通機関・商店街・公共施設等への接近性などの居住の利便性です。
② 商業地域:商業地域の地域要因は収益性に着目したもので、商業施設・業務施設の集積度、商業繁華性などがあげられます。
③ 工業地域:工業地域の地域要因は費用の経済性及び生産の効率性に着目したもので、輸送施設(幹線道路、鉄道・港湾・空港等)の整備状況、関連産業との位置関係、交通機関等への接近性などがあげられます。

〇個別的要因

個別的要因は、不動産の価格について、その属する近隣地域における標準的使用を前提とする不動産(標準的画地といいます)の価格水準と比較して、個別的な差異を生じさせる要因をいいます。標準的画地はその地域の一般的な価格水準を反映しており、「標準的画地を100としたときに対象不動産は95(個別的要因で5%の減価)である。」というような表現になります。土地の地域要因及び個別的要因の比較をする際、まずそれぞれの地域における個別的要因が標準的な土地(標準的画地)を設定して行うことが一般的です。
土地
① 接面道路との関係:通常、標準的画地としては一方が道路に接する土地(中間画地といいます)を設定します。例:角地・準角地・二方路地、三方路地であれば増価要因、無道路地、建築基準法上の道路に接していない土地であれば減価要因。
② 画地条件:例:間口狭小・奥行長大・不整形地であれば減価要因。画地規模については、過大・過少ともに主として減価要因(面大増価という例外あり)。
③ その他:例:近くに嫌悪施設(ごみ処理場、墓地等)がある場合は減価要因。
建物
例:建築年月、面積、構造、材質、維持管理の状態などがあります。
建物及びその敷地
土地、建物に関する個別的要因のほか、例:敷地内における建物・駐車場・通路・庭の配置など建物等と敷地との適応の状態があります。さらに賃貸用不動産の場合は、借主の状況及び賃貸借契約の内容、貸室の稼働状況など賃貸経営管理の良否があります。

〇まとめ

以上、価格形成要因について述べてきました。不動産の鑑定評価では、価格形成要因の分析は大変重要なものです。特に地域要因の分析である地域分析と個別的要因の分析である個別分析は、鑑定評価全体の精度に影響を与えます。地域分析では、主として近隣地域の標準的使用を判定し、個別分析では、標準的使用との関連を踏まえ、対象不動産の最有効使用を判定します。これらの判定を踏まえ、どの鑑定評価手法が一番適切かを判断することになります。
以上のことを意識して不動産鑑定評価書を読む機会があれば、新たな発見があるかもしれません。

CONTACT
お問い合わせ

不動産を活用した相続対策のご相談はお気軽に